
早起きの習慣が身についてから、最近、時間への意識が強い。
で、時間の使い方について、あれこれ考えていると、道場六三郎をよく思い出す。
道場六三郎は、その昔、フジテレビの人気番組「料理の鉄人」で、和の鉄人として登場していた料理人。
「料理の鉄人」という番組は、ひとつの食材をテーマに、決められた制限時間のなかで、どちらがいかに美味しい料理を作ることができるか、派手なキッチンスタジアムで繰り広げられる料理人同士の対決番組。
その番組で圧倒的な人気と強さを誇ったのが、初代「和の鉄人」こと道場六三郎だった。
ウィキペディアによると、「現役時代の対戦成績は27勝3敗1分と勝率9割に迫り、圧倒的な強さを誇った。」という。
とくに彼が印象的だったのは、毎回、調理の初めに「お品書き」を書いていたこと。

対戦時間は、きっちり1時間と決められている。材料の下準備から調理、盛りつけまで、わずか60分間ですべて終えなければならない。
1秒でもムダにできない状況。普通は、時間を惜しみ、夢中で調理を行う。そんな状況のなか、道場六三郎だけは平然と筆でお品書きをしたため、今から作るいわゆるメニューを披露してから本格的に調理を始めていくのだ。
番組の演出のひとつに違いないのだろうが、いかにも鉄人らしい場面に、毎回ハラハラドキドキしながら見入っていた記憶がある。
調理を始める時に、静かにお品書きをしたためる…。という仕事スタイル。
YouTubeの動画で、道場六三郎のようすを確認すると、対決のテーマとなった食材を確保した後、テーブルに巻き紙を広げ、筆ペンでスラスラと書いている。
迷うようすがないので、献立はすでに頭の中にあるのだろう。食材を物色し確保した時にメニューはほぼ出来上がっているようだ。
それでも、書き終わるまで2~3分は経過するはず。
仮に3分かかったとすると、60分間という制限時間のうち貴重な5%を消費してしまう計算だ。
Mr.Ironシェフ選手権(道場六三郎 vs 神田川俊郎の対決です。)
https://www.youtube.com/watch?v=fKw6qXi2uCo
料理の鉄人 第08回 道場六三郎 vs 周富徳 蟹対決.mp4
https://www.youtube.com/watch?v=-auLMCwTZJY
料理の鉄人 第16回 道場六三郎 vs 正木数義 穴子対決.mp4
https://www.youtube.com/watch?v=wzFQT252ves
もちろん、修行を積んだプロだからこそ成せる技で、残り時間で調理できる段取りもめどがついているのだろう。
実際、書き上げたお品書きを、二人の弟子に見せて指示をしていたりするので、お品書きが作業指示書の役割も果たしていることは間違いない。
お品書き=目標設定と置き換えれば、最初に目標を設定することの重要さや、明確な段取り・指示が的確に行えるなど、仕事のやり方のヒントになりそうだ。
仮にお品書きの所要時間が3分とすれば、60分の5%だが、同じ比率でいくと、8時間の5%は24分に相当する。これをざっくり約30分とすれば…、
1日8時間労働している人の場合、毎日、仕事始めの30分間を「特別な目標設定」として取り入れてみることも、有効かも知れない。
例えば、精神統一を行って、実際に筆ペンを使って、ていねいに気合を入れて今日のToDoリストを書いてみるとか…。
そこまでやる? 気持ちの問題でしょう、と言ってやらなければ、それだけのこと。
道場六三郎は、実際に、そうしたやり方を貫いて、勝率9割に迫った鉄人だったのだ。

彼に関するこれまでの書籍や情報を眺めていると、職場の衛生管理や整理整頓はもちろん、修行時代の忍耐や負けん気、独立してからの創意工夫などについても、かなり挑戦的な情熱を燃やし続けていた、精神力が大変に強い人だったことが伝わってくる。

なので、そんな道場六三郎にあやかって、マジで「お品書き」を実践し、続けたらどうなるか、ヒントのひとつでも掴めるに違いない。

※参考書籍
●男ろくさんの本音(北國新聞社)
●六三郎だんくら人生―わが半生の包丁奮戦記(ソニーマガジンズ)
●「一本立ちできる男」はここが違う(新講社)
●伸びる男とダメな男はすぐわかる (新講社ワイド新書)
※参考リンク
つねに戦いに挑む気概を持つ 道場六三郎
別冊専門料理「日本料理の四季6」(昭和62年発行)より
http://ss-foodlabo.com/quotation/quotation_detail.php?id=66
道場スピリット
https://michiba-shunsara.jp/spirit/
#3忘れられない師匠との出会い
https://michiba-shunsara.jp/spirit/640/
記:2020-03-15 07:07:07